「大津市農業振興ビジョン(案)」の実効的な施策を求めて

  • 2017.03.04 Saturday
  • 16:59

 歴代政権の輸入自由化一辺倒の農業政策のもとで、コメをはじめとする農産物の価格が下落し、農業生産が減り、それを上回る規模で農業所得が減っています。地域経済を支えている中小企業や農林水産業の衰退は、地方の衰退を深刻化させています。今こそ、農産物の価格保障・所得補償を抜本的に強化し、安心して再生産できる土台をつくり、食料自給率向上を国の産業政策の重要な柱にすえることが重要だと考えます。

 大津市では、来年度からの12年を計画期間とする農業のあり方を描いた「大津市農業振興ビジョン」の策定を進めています。策定の経緯には、農業を取り巻く環境の厳しさ、地球温暖化といった自然環境の変化、農家のみなさんの高齢化や引退、耕作放棄地の拡大などの問題が指摘されています。

 本年1月14日からの大雪で農業被害のあった市北部の現場にもまさしく、この問題点が凝縮されていました。

《投影開始写真 

 これは、日本共産党大津市会議員団で、被害状況を調べに行った時の様子です。仰木では、長さ40m幅6.5mものビニールハウスが雪の重みで大きくつぶれていました。たわんだパイプの下の畝には、手をかけたキャベツやブロッコリーなどが収穫を待っていましたが、ゆがんで壊れた戸口は閉まらなくなり、

《写真◆

鹿が柔らかくておいしい先の方だけを次々とかじっています。80歳を超えるNさんは、妻が3年前に脳梗塞で倒れてからは、ひとりで農作業を続けてきたとおっしゃいます。

《写真》

滋賀県のブランド米である「みずかがみ」の苗を作るために、3月末までに直さなければならないとのことですが、手間賃はタダだからと、ひとりでぼちぼち直すと言われました。気が遠くなる作業です。日に焼けた顔が、曲がった背中が、しわを刻んだ手が、休むことなく黙々と働き続けてこられたことを物語っています。こうやって、私たちの口に入る安全な食べ物を手間暇かけ作っていただいていることに頭が下がります。

《写真ぁ

大物 ( だいもつ ) では、獣害柵が鳥除けのネットに雪が積もって重みで大きく倒壊し、

《写真ァ

隣の家にもたれかかっていました。8年前に20年はもつと言われて115万円をかけて作った柵だとのことで、県にも市にも連絡したが、雪害対策はなく、何にもしてもらえへん。道の駅に持って行っても売れ残るし、市場はアンテナショップの半値で、規格外のものは持ってもいけない。学校給食の買い取り価格も安くて採算が取れないし、近くに加工場でもあればとの希望も伺いました。経営の難しさから新規参入した志のある若者もすぐに辞めていき、高齢化と後継者難に加え、世界的な気候変動によって、作付の計画も立ちにくくなっていることや、そもそも大津市は農業予算が少なすぎると訴えられました。

《グラフ》

 続いて市の一般会計総額と農林水産業費の推移をごらんください。一般会計総額は、1990年度と昨年度2015年度では、1.6倍を超える伸びを示しています。それに比べ農林水産業費は、25年前よりも少なく、一般会計総額に占める割合は、二分の一以下にまで減っています。

《投影終了》そこでお尋ねします。

  1. 農業関連予算の大幅な減額が、「大津市農業振興ビジョン(案)」でも指摘されている、農業を取り巻く環境の厳しさを招いたのではありませんか。予算の増額が必要だと考えますが、見解を伺います。

 

 2020年から予定されている中学校給食を控えて、食育の観点からも安全で安心な大津市産農産物の供給量を増やすことが課題であり、ビジョンにも位置づけられています。学校給食における大津市産農産物の供給可能量が、2015年14.6tであったものを2021年には39t、2025年には67t、2029年には90tと、大きく目標が掲げられています。

 国の農林漁業者等及び関連事業の総合化並びに地域の農林水産物の利用の促進に関する基本方針(H23年3月)には、学校給食における地場産物を使用する割合について、食育推進基本計画に定める目標を達成することを目指すとしています。そこでお尋ねします。

  1. 学校給食における大津市産農産物の供給可能量の目標達成のための具体的な施策を伺います。

 

 大津市では山間部に農地が多いことから鳥獣による被害も深刻です。2013年度の市の被害額は、年間2950万円に及びました。防護柵の設置補助金は県費の300万円のみで上限二分の一補助ですが、一軒当たりの補助額は分母の大きさによって減っていきます。今年は希望者が多く、約36%の補助率だと伺っています。これでは自己負担分が高くてとても設置できないと悲鳴があがっています。また、天候異変の災害にも迅速に対応できる補助金の設置も望まれています。そこでお尋ねします。

  1. 防護柵設置や、被災時にも迅速に対応できる市単独の補助金を検討すべきではありませんか。

 

 1月の農業委員と農業者等との意見交換会においても、多くの方が指摘されたのが、後継者難と、固定資産税の高さです。農業だけでは暮らしていけず、他の仕事の収入から高い固定資産税を払っているが、いつまで農地を守っていけるか不安だと語られています。

 昨年5月に決定された都市農業振興基本計画は、市街化区域内の農地を「宅地化すべきもの」から都市に「あるべきもの」と位置付けを変え、必要な施策を求めています。そこでお尋ねします。

  1. 市街化区域農地の宅地並み課税の固定資産税軽減措置が必要だと考えますが、見解を伺います。

 

 国では、大規模農家に農地を集積し、経営規模拡大による効率化が進められています。そもそも日本の農業は大小多様な農家や組織によって担われていて、中小農家の切捨てで食料自給率の向上や農業の発展は見込めません。しかも大津市は、中山間地域の勾配が急な農地や、市街化区域に点在する農地等、効率的な作業ができない農地が多く、小規模農家が多いことから容易に経営規模拡大を推進できる状況にないことは、ビジョンでも指摘されています。

 一方で、近年、若者や定年退職者、都市住民の間で就農や農山村への移住希望者がふえ、農業への関心が高まっています。それを就農に結び付ける「半農半X(エックス)」という京都府綾部市に在住の塩見直紀さんが提唱された新しいライフスタイルが注目されています。「半農半X」のきちんとした定義はありませんが、農業収入の他に、兼業収入を加えて生計をたてるライフスタイル(いわゆる兼業就農)のことで、「半X」にあたる兼業部分には、限定がありません。

 大津市では、2016年現在約3,000戸が農業を営んでいますが、兼業農家が9割です。後継者の育成には、兼業農家の強みを活かし、自給的生産者を守り育てるための支援が有効ではないかと考えます。

 島根県では「農業+α(アルファ)」に着目し、2010年度に「UIターン就農者定住定着支援事業」を開始しました。2012年度から「半農半X支援事業」と名称を変更してU・Iターン者の支援を行い、過疎・高齢化で農業の担い手が減る中、移住者が増加しています。これまでに県外から44人が移住し、島根県内の8 市町で「半農半X」の生活に取り組んでいます。家族を含めるとその数は倍以上になります。県の制度に市町が支援する独自制度に加え、住まい、子育てなどの一体的な環境整備に力を入れていることも大きな要因です。実践者には、より農業に特化し、認定新規就農者へ移行し実績をあげている方もいらっしゃいます。

 本市でも2015年1月に環境政策課が提唱者の塩見さんを招いて『半農半Xという生き方〜自然に調和した暮らしを求めて〜』と題した講座を開催しています。40名の市民が参加し、好評であったと伺っていますが、農林水産課と連携して、市民へ具体的な提案があればもっと効果があったのではないかと思われます。(※下線部分については手持ち時間が無くなったため読み上げずに、質問に移りました。)

 そこでお尋ねします。

  1. 「半農半X支援事業」は、環境保全型農業を進める大津市においても、新規就農者を増やし、定住を促進する取り組みとして、有効な事業ではないかと考えますが、見解を伺います。

 

➡部長答弁(所属名:農林水産課)

 大津市農業振興ビジョンの実効的な施策を求めてのうち、農業予算についてですが、農業を取り巻く現状は、外国産の安い農産物の輸入、人口減少社会の到来による食料需要の減少、あるいは消費者の食の多様化など25年前と一概に比較できるものではないと考えております。

 なお、農業関連予算につきましては、各年度で主要な施策を実施し、直面する課題に対する適切な予算措置となっております。平成29年度についても地産地消の推進や鳥獣害対策などの課題に取り組んでまいります。

 

 次に、学校給食利用促進に向けた施策についてでありますが、産業観光部では、今年度に創設したジャガイモ、ニンジン、タマネギ、キャベツ、ブロッコリーを重点的に生産拡大するための「華麗なる大津野菜」生産拡大推進事業において、種子、肥料、薬剤、生産資材、販路開拓、共同利用機械などに対する助成制度があり、農事組合法人に対しては生産拡大の取組を依頼しております。

 また、教育委員会では、学校給食で大津産農産物を積極的に使用するため、野菜については現在も大津産を優先的に使用していますが、今後は、より少ない量でも対応できるよう調理場ごとに食材の調達を行い、学校給食用物資納入業者全てに対し大津産野菜の確保を周知するなど、大津産の使用拡大に向けた取組を検討していきます。

 今後とも産業観光部と教育委員会が連携し、給食で使用できる規格、使用する野菜の種類や時期、使用量について、農業協同組合などを通して生産者や農業関係者に対し情報提供を行っていくことにより、大津市産農産物の作付面積拡大を図り、学校給食への供給可能量の目標達成につなげてまいります。

 

 次に、市単独補助金についてでありますが、防護柵設置への支援につきましては、大津市が防護柵などの設置にかかる補助金交付要綱を定め、滋賀県自治振興交付金と共に補助金を支出しており、平成28年度には8集落に支援を行っております。

 また、災害等緊急に対応する必要があるものにつきましても、現在の大津市補助金交付要綱において、集落が既設の防護柵を補強する事業の中で、条件を満たす場合には補助を行っております。

  

 次に、新規就農者対策についてですが、大津市農業振興ビジョンでは「農ある暮らしがつなぐ湖都のきずな」をコンセプトに、地域で支える多様な農業、地域でつくる豊かな食を目指しています。その中でも、議員お述べの半農半Xは、農業を営みながら他の仕事にも携わり、生活に必要な食料、所得を確保するという、多様な担い手の一つであると考えています。

 このように、新しいライフスタイルによる半農半Xを実践される方などが現れ定住されれば、「住み続けたいまち・大津」の実現につながると考えております。

 

➡部長答弁(所属名:資産税課)

 市街化区域農地の宅地並み課税の固定資産税軽減措置についてでありますが、当該農地は宅地化を促進する地域にあり、税制上、農地としてではなく「宅地としての潜在的価値を有する」土地として取り扱われています。

 一方、税の負担面においては、宅地に比べ、評価額に対して課税標準額が、固定資産税では3分の1、都市計画税では3分の2を限度として低く抑えられております。

 また、固定資産税の減免は、地方税法及び市税条例において、災害などによる納税者の担税力の喪失や公益上必要なものに限られており、従いまして、市街化区域農地の固定資産税を、さらに軽減する考えはございません。

 なお、平成27年4月に施行された都市農業振興基本法において、都市農業のための利用が継続される土地について必要な税制上の措置を講じるものとされ、昨年の同基本計画に基づき、課税の公平性の観点から、国において固定資産税等の税負担のあり方を検討されているところであり、その動向を注視してまいります。