医療的ケアが必要な児童生徒の教育の保障について

  • 2017.03.04 Saturday
  • 16:44

 

 まず、通学保障についてお尋ねします

 特別支援学校に通う児童生徒は、多くはスクールバスで通学しています。しかし、スクールバスにも乗れない子どもたちがいることをご存知でしょうか。

 特別支援学校に在籍する医療的ケアを必要とする児童生徒の内、人工呼吸器の管理や痰の吸引など、登下校中に医療的な処置を必要とする児童生徒の多くは、スクールバスに乗ることができず保護者が送迎しています。また、てんかん発作があるために乗れない子どももいます。

大津市内在住で特別支援学校に通う児童生徒の内、医療的ケアの対応が必要な児童生徒は、北大津養護学校に13名、その内保護者による送迎は7名です。また、草津養護学校に通う10名の内3名が保護者による送迎を余儀なくされています。

毎日の通学を支えるために、人工呼吸器が車の振動ではずれないか気にしながら、途中で何度も車を止め安全を確認しつつ、祈るような気持ちで日々運転する保護者の心情をご想像いただきたいと思います。

 滋賀県は、保護者の負担軽減をしようと「医療的ケア児童生徒保護者支援研究事業」の実証研究を、2014年度より行っています。福祉車両に訪問看護師が同乗するもので、近江八幡市、守山市、湖南市の3市に加え、今年度は、栗東市、甲賀市、豊郷町の6市町で12名を対象にそれぞれ2回〜10回実施されました。

 今年2月8日、県庁で開かれた研究会議において報告があり、委託事業に参加された訪問看護師や移動支援事業所からは、事業所の負担などの課題も指摘されましたが、ひとりで送迎する保護者がどれだけ大変かがわかり、できるだけ協力したいという気持ちも語られました。来年度からは、実務者会議で制度化に向けた条件整備の検討が始まります。県は、事業名称を「医療的ケア児童生徒の通学に係る保護者支援研究事業」に変更し、来年度の実証研究事業を早期に開始できるよう、未実施の市町を中心に市町との調整を進めるとしています。

 昨年、気管切開をして呼吸器管理となり、常時医療ケアを必要とする状態になりスクールバス乗車不可となった、草津養護学校の中等部に通う生徒さんがこの大津市内にいらっしゃいます。母子家庭で、自家用車もありません。移動支援事業は通学には認められていないため、呼吸器を乗せたバギーを積める福祉タクシーで、母親の同行で登校していますが、往復6000円かかるため、経済的に週1回しか通えていない現状です。通院も月2回必要なため、福祉タクシー代は合わせて月3万円ほど、かかっています。これに対し、市からの補助は、年間14000円のタクシー券のみです。

 ご本人は外出が好きで、学校が大好きです。できることなら、もっと学校に通いたいとおっしゃっています。登校さえ出来れば、看護師配置などの特別な配慮のある教育環境が整えられています。子どもに行きたい気持ちがあるのに、成長できる機会があるのに、通学させてやれない切ない親の気持ちもお聞きしました。

 預け先もなく、お子さんの体調も不安定ですから、短期のバイトでつなぐこととなりフルタイムで働くことなど到底無理な状況です。医療ケア児対象の県の通学保障モデル事業があることを知り、申し込みたい気持ちはあるけれど、大津市が手を挙げていない状況で、どこに言えばよいのかわからず困っていたとおっしゃっています。

 スクールバス乗車が叶わない子どもたちの通学保障は、長年にわたって訴え続けてこられた課題です。残念ながら在学中に亡くなられたり、叶わないまま卒業されたりという現実を保護者は目の当たりにされておられます。医療的ケアが必要な児童生徒が増加する中で、一日も早い早急な体制作りが求められます。そこでお尋ねします。

  1. 「おおつ障害者プラン」には、「特別支援を要する子どもが生活する地域において、必要とする教育内容と支援方法を把握し、その内容に沿った包括的な教育を行う」とあります。また、基本的な施策として、「一人ひとりのニーズに応じた教育の実施」とありますが、保護者任せにされ、通学を保障されるべき児童生徒が放置されている現状をどのようにとらえていますか、見解を伺います。
  2. 医療的ケアが必要な児童生徒の保護者は、安全な体制で安心して預けられる通学保障の設立を切実に願っておられます。市内の保護者からは、大津市も県の実証研究事業に手を挙げてほしいと要望をいただいています。来年度事業への参加を検討すべきと考えますが、見解を伺います。

 

 次に看護師配置について、お尋ねします。

 大津市では、現在地域の小学校1校に医療的ケアを必要とする児童が通学されています。日常的に気管切開による痰吸引や、胃ろうからの水分またはミキサー食の注入などが必要です。学校での昼食は、給食メニューに併せて自宅で保護者が調理し、登校時に持参しています。発熱もしやすいため、ちょっとした気温差にも配慮が必要です。看護師配置が1人のため、看護師さんが休みの時には保護者が登校中ずっと付き添うことになるという課題もあります。ご本人は、お友達と手をつないで登校されることを楽しみにされ、最近縄跳びが出来るようになったことを大変喜ばれています。保護者も学校での大きな成長を感じておられますが、来年度からの看護師が確保できるのか、学校側も保護者も不安を感じておられます。

 来年度から、医療的ケアを必要とする児童が2つの小学校に通われることとなり、それぞれに看護師配置が必要です。昨年も看護師の確保に相当苦労されたと伺っています。新学期はもう目の前です。そこでお尋ねします。

  1. 専門の資格を持った看護師時給単価が、本市では県の特別支援学校の1560円と比べて、1150円という低さですが、この根拠についてお答えください。
  2. 新学期までに看護師が配置できなかった場合、医療的ケアを必要とする児童の教育はどのように保障されるのでしょうか。
  3. 来年度は2校で看護師配置が必要ですが、市では看護師確保のためにどのような対策をとられているのか、時給単価の引き上げの検討も含めて伺います。

 

➡部長答弁 所属名:障害福祉課

 医療的ケアが必要な児童生徒の教育の保障についてのうち、1点目の通学を保障されるべき児童生徒の現状についてでありますが、スクールバスが利用できていない状況を深刻に受け止めておりますが、県立特別支援学校における通学保障であり、県教育委員会の責任で対応されるべきものであると考えております。

 2点目の県教育委員会の実証研究事業への参加についてでありますが、対象が県立特別支援学校の児童生徒であり、県教育委員会が取り組むべき課題でありながら、市町の事業であり、実質的に市単独事業となる可能性が高い移動支援事業を利用した実証研究事業であることなどから、実証研究事業に参加する考えはございません。

 

➡教育長答弁 所属名:学校教育課

 看護師配置についての1点目の看護師時給単価の根拠についてでありますが、看護師資格を有する特別支援教育支援員は、大津市立小学校において医療的ケアを必要とする児童が入学されることを受けまして、臨時的任用職員の給与等に関する条例に職として位置づけ、平成28年度から配置したものであります。
 条例において賃金を定めるにあたっては、本市の他部局で複数設けられている看護師資格を有する臨時職員に適用される賃金との整合を図る必要があったことから、同じ待遇とした結果、1時間につき1,150円としたものであります。

 

 2点目、新学期までに看護師が配置できなかった場合、医療的ケアを必要とする児童の教育の保障についてでありますが、医療的ケアを行えるのは看護師と保護者であります。看護師が配置できなかった場合、保護者のご協力をいただくことが必要となることもあるかと考えています。医療的ケアが必要な児童の教育を保障するためにも、看護師の配置に努めてまいります。

 

 3点目、看護師確保のための対策と、時給単価の引き上げの検討についてでありますが、2名の看護師配置に向けて、公共職業安定所で求人をしているところに加えて、滋賀県看護師協会へも依頼し、人材確保に努めているところであります。

また、待遇面につきましては、先の改田議員からのご質問にお答えしたとおり、人材の安定的確保が図れるよう、その改善を検討していく必要があると考えております。

 

※初問及びその答弁のみ記載しています。