シェアリングエコノミー関連予算について

  • 2018.03.19 Monday
  • 15:38

 「シェアリングエコノミー」は、インターネットを介して、遊休資源やサービスの取引を指す言葉で、取引の対象となるのは財産の貸し借りから、労働力の提供まで、幅広い分野に及びます。情報通信技術の発展とスマートフォンの普及を背景にして、仲介業者を通じ個人の遊休資源やサービスを提供するビジネスが急速に広がっています。

 有名なところでは、民泊仲介の「エアビーアンドビー」、ドライバーと乗車希望者を結びつける「ウーバー」や「のってこ」、フリーマーケット仲介の「メルカリ」などがあり、大津市が昨年末に連携協定を結んだ「アズママ」は育児代行、「タスカジ」は家事代行を有料で行うしくみです。

日本政府も、内閣官房に「シェアリングエコノミー促進室」を設置し、普及・促進を図ろうとしていますが、日本より先行して普及が進んでいる諸外国では、様々な問題点も浮き彫りになっています。

1つは、家事代行など、個人のサービスを提供する場合の労働実態についてです。サービスを提供する人は、仲介をするプラットフォーム企業との間に使用従属性が認められる「労働者」であるにもかかわらず、実際には個人事業主として扱われ、各種の法的な保護が受けられないといった問題があります。ドライバーと乗車希望者を結びつけるライドシェアでは、裁判が次々と起こされ、最低賃金と有給休暇の権利を認めたものや、失業保険の受給資格を認めた裁判などがあります。国際労働機関(ILO)も問題視しています。

また、サービス提供者が得た所得を課税当局が把握できないことや、消費税の納税は、仲介するプラットフォーム企業とサービス提供者のいずれが義務者となるかといったことなど、諸外国でもシェアリングエコノミーへの適正な課税に向けた取り組みは、緒に付いたばかりと言えます。

日本でも、近年急速に増加してきた民泊により、深夜の騒音やゴミ出しなどによる近隣住民とのトラブルや、犯罪の温床になることも懸念され、住環境の破壊だけでなく、まちづくりにとっても大きな社会問題となっています。

またライドシェアは、タクシードライバーに必要な二種免許も不要で、運転前のアルコールチェックの義務付けもしません。乗客の安全を保障するしくみはぜい弱です。さらに、ライドシェアは個人の副業を想定したしくみです。価格破壊が容易に起こり、今でさえ早急な改善が必要なタクシー労働者の低賃金と劣悪な労働条件はさらに悪化します。相次ぐバス事故に明らかなように、事業参入拡大を狙う規制緩和は利用者の命を危険にさらします。

 大津市は、昨年「シェアリングシティOTSU」を宣言し、シェアリングエコノミーの推進を打ち出しました。来年度予算案には、シェアリングエコノミー導入可能性調査検討業務に540万円、子育てシェアリングエコノミー啓発事業に665万円、ライドシェアに140万円の総額1,345万円が計上されています。

本市の来年度予算案では、6割の主要事業を減額し、廃止された事業もあります。その一方で、民間事業者によるシェアリングエコノミーの推進のために公費を投入する必要があるとは考えられません。

 そこでお尋ねします。

    シェアリングエコノミーについては、これまで述べた労働者の保護、課税上の問題以外にも、サービス利用者の安全確保や地域社会に不利益を与える外部不経済への対応など、様々な問題が指摘されています。これらの課題について、どのように認識されているのか伺います。

  部長答弁【所属:行政改革推進課】

    シェリングエコノミーの課題の認識についてでありますが、シェアリングエコノミーは、個人等が保有する活用可能な、「モノ」、「スキル」、「空間」等の資産等を、インターネット上の取引のプラットフォームを介して、他の個人等も利用可能とする経済活動であると解されています。

    つまり、従来の専門業者対個人の取引の仕組みとは違い、個人と個人が取引をし、その取引のマッチングを行う場(プラットフォーム)を事業者(プラットフォーマー)が提供します。

    また、シェアリングエコノミーは、様々な経済・社会的効果が期待されており、中でも、個人によるサービス提供の実現は、新たな就業機会を創出し、消費者に対しては、サービス供給の拡充・多様化による利便性の向上や、サービス提供の低価格化のメリットをもたらしています。さらに、子育て支援、インバウンド対応、交通弱者への対応など、地域が抱える様々な課題を解決するための共助の仕組みとしても期待されています。

    一方、これら経済・社会的効果とは別に、新たに対処すべき様々な論点・課題が顕在化しており、議員ご指摘の課題についても、代表的な課題として、その評価と対応策について論じられています。

    まず、サービス提供者は、現在の日本の法制度では、「労働者」ではなく「個人事業主」に分類され、海外では既に議論も進んでいるところであります。

    次に、課税上の問題として、サービス提供事業者の課税情報の把握の困難性や煩雑性が考えられますが、このことはシェアリングエコノミーに限らず一般的な問題でもあります。

    次に、サービス利用者の安全確保については、プラットフォーム事業者や団体による自主的ルールの策定が必要であることから、国においては、「シェアリングエコノミー・モデルガイドライン」を策定し、適合する事業者に認証を与える制度が設けられています。

    次に、外部不経済の問題については、安心できる取引環境を構築し、サービスに対する社会的受容性を醸成する必要があると考えております。

    本市としても、シェアリングエコノミーには、地域の課題を解決する大きな期待がある一方、新たな諸課題も認識していることから、シェリングエコノミーの安全性・信頼性の確保を目的に国が進めている伝道師の派遣など、さまざまな取り組みを活用することとし、さらに国のガイドラインに則って自主的ルールを定めるシェリングエコノミー協会やプラットフォーム事業者との連携を基本として、シェリングエコノミーが本市にとっても、地方創生、地域共助のしくみの充実として発展するよう、努めてまいります。

 

    シェアリングエコノミーの市場規模は急速に拡大しており、サービス利用者とサービス提供者を結ぶプラットフォーム運営企業がしのぎを削っています。その一方で、市内で営業しているサービス提供事業者の仕事を奪うことにもなりかねません。予算案は、特定の民間事業者に対し便宜を図るものとなっており、税金の使い道としてふさわしい公平で公正なものであるとは考えられません。見解を伺います。

  部長答弁【所属:行政改革推進課】

 次に、予算案についてでありますが、シェアリングエコノミーの経済活動は、議員ご指摘のとおり急速に拡大してきており、今後、人口減少が進む中、地域や市民が日常生活において抱える様々な課題は、既存のサービスだけでは解決するに至っていないのが現状です。

 シェアリングエコノミーでは、ICTを活用し、モノや時間などの遊休資産を活かしながら、様々なシェアサービスにより、地域経済の活性化、地域課題の解決につながるものと認識しています。

 身近な地域社会においては、課題を抱えている人と支援できる人の出会い、頼りあえる仕組みを構築することで、既存の行政が提供する公共サービスを補完するサービスの提供、高齢者、障害のある人等の支援や新たな就業機会の創出等、地域における共助の仕組みの充実につながるものと認識しております。

 また、シェアリングエコノミーは、既存サービスを補完するとともに、これまで時間的な制約などから働く機会がなかった人に働く場を提供できるものと考えております。

 なお、シェアリングエコノミーに関する来年度予算については、新年度予算説明の中でも申し上げておりますとおり、子育てをはじめとした本市が抱える様々な課題解決やテクノロジーとまちづくりを考える手法の一つとして取り組むべきものとして、予算計上したものであります。

 

※時間調整しながら3つの項目を質問していたのですが、考えていたよりも長い答弁で、再質問できなかったことが心残りでした。

 

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